ふと思い返す震災
Percy Jacksonシリーズの一巻を読み始めたのは、震災に遭った時期です。仙台から命からがら南へ車で出発する時、何を思ったのか、多読クラブからのお借りしたものですのに、Percy Jacksonの一冊だけをカバンに放り込みました。冷蔵庫のチョコレートと林檎と、災害用のリュック。あとは毛布を車に載せ、1時間以内に出発しました。車の中でつけたラジオから、津波が来ると、何度も何度も流れてきました。私の住んでいた町は、津波が襲った地域から自転車で約5・6分です。逃げ方によっては危なかったかもしれません。主人は鬱を患っていましたが、無理をしながら運転をしてくれました。
避難先で、仙台の家が流されたかどうかわからなかったのですが、何もかもがなくなっても、生きていられるのであれば、それが幸せのすべてであること、噛み締めながら過ごしていました。
多読クラブにお返しするのに時間がかかってしまい、ご迷惑をおかけしましたが、あの時、とっさにカバンに入れた本。呆然と過ごした日々でしたが、時々、思い出したように本を手にできたこと、それは、いつか自分が自分らしく生きてもいいのかもと、うっすら思わせてくれました。
私にとって大事な一冊となりました。
今も、主人は鬱を闘病中で、前に進んでいるのか、立ち止まっているのか、ふと考えてしまうような状態です。ですが、多読を続けていられること、この上ない幸せなことだと思います。
この二日間、次に手に取る本を考えながら、今までのことを思い出しました。私は、多読でどんな道を歩んでいきたいのか。震災の、あの時に、背中を押してくれた言葉を胸に。
He who enjoys doing and enjoys what he has done is happy.
今していること,今したことを楽しむものは,幸せである。
ひとのためになる行為ではないですが、心に咲く花のような本たちが、どなたかのお心にも蕾をつけて、ほろりと花開く。そんなことがあるといいなぁ、なんて思ったりもいたします。
本の神様がいらっしゃるならば、本を愛する人の心に、灯がともりますように。いつか、そんなお手伝いができるblogになれますように。
次の本をじっくりと時間をかけて選んでおります。
(E-P2)