Nine Stories

ナイン・ストーリーズ―Nine stories 【講談社英語文庫】

Nine Stories
YL6.5　語数53,000　SSS書評
サリンジャーが自ら選んだ9篇の短編小説集。「A Perfect Day for Bananafish」衝撃的な一話から始まり、昔の男を思い出す女。団長の語る「笑い男」に夢中にのめり込む少年たち。「惨めさ」についての物語を求める少女。男女の不倫。そして最後は神童のある一日。さまざまな日常の切り口が、何十年と経った今でも新しく輝く9つの話。ひとつひとつの趣が異なり魅了させられます。
最初の話は、大人が主人公で子どもに語る話。最後が子どもが主人公で大人に語る話。この2つの対の話に宿る不穏な感じがひとつのつながりになって一冊が終わっています。最後には人生について考える余韻が広がります。小さな話、短い文章の中に深さを感じさせられます。

TOEIC550点以上と書かれているので、これはいけるかもと思ったのですが、巧みな表現にあふれているので、へなちょこな英語力では、やはり歯がたたないところがありました。とはいえ、遊び心いっぱいの砕けた表現あり。俗っぽい言い回しに深さがある部分もあり。また翻訳ではわからなかった単語遊びも感じられ。。。原書で読むことの意義を存分に感じるキリン読み。大変心惹かれる一冊でした。

1201冊　8,151,223語です。